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逆瀬川K邸

建 築 地 :兵庫県宝塚市
主 用 途:住宅
構  造:木造
規  模:地上2F
竣 工 年 :2010年1月
   

この住宅の敷地は、兵庫県宝塚市にある山の斜面。小高い敷地の目の前に広がるのは、大阪から神戸までを一望する絶景です。この景観とともに暮らしたいというのが、建築主夫妻の強い希望でありました。
そこで景観に向かって大きく開口を取るとともに、シェルのような形状で一家を包み込むというアイデアを提案しました。外に向かって単に開放的であるだけでなく、日常生活を包み込む安心感を両立させたいという思いからです。構造用合板の素材感を活かした壁、天井には洞穴の中にいるような独特の安心感があります。
今では、リビングのコーナー部分にイージーチェアを置き、ゆっくりと景色を眺めるのがご主人の日課となっているとお聞きしています。

この敷地は、斜面地であるだけでなく、道路からは水路で切り離され、検地石が約4m積み上げられた崖に三方を囲われています。施工をするには難易度の高い土地でありました。家を建てるにあたって、まず道路から水路を渡る橋をかけなければならない。
しかしこのような切り立ったエッジにある敷地には、通常の平地では得られないさまざまな方向からの「刺激」を家の中に取り込むことができます。それぞれの方向に開口を効果的にあけるため、三角形を使った多面体としています。道路側の三角形の窓は、前面道路の急な上り坂を上ってくる人や、水路の流れの光景を住宅のエントランス部分に取り込みます。設計中に生まれた息子さんは雨の日にはこの窓から水路の流れをじっと飽くことなく見ているといいます。
またエントランスの様々な方向に開いた開口からは日々刻々と変化する光が差し込み、室内に変化に富んだ陰影を生み出します。壁を外側に向けて傾けた壁が空間自体の動きをダイナミックなものとし、絶景の広がる2階への前章としての期待感を生み出します。

シェル部分の屋根・外壁は一体として天然スレート葺きとしています。雨や雪の日には濡れ色が外壁に独特な風合いを生み出し、雨水が水路にまで流れ落ちます。外壁の一部を外側に傾けたことで、昼の日差しや夜のライトアップによって印象的な変化をつけています。